FUJI 藤の間
こちらの部屋の床の間の壁紙は、紫色の藤の花をイメージした色合いと風合いのものを選んでいます。
桜が散ると、藤の季節になります。日本では、藤棚や盆栽に仕立てられることが多く、垂れ下がる紫の花は、周囲の緑に映えて鮮やかさを演出し、人々の心を惹きつけます。
藤野色は青みのある紫色で、藤の花からとられた色です。平安時代から女性の服の色として大変人気があり、時代とともに流行色として、藤鼠(ふじねずみ)、薄藤(うすふじ)、青藤(あおふじ)などの派生色もつくられました。見た目の華やかさから、平安時代から高貴な花として親しまれ、日本の書物にも多く登場してきました。
万葉集では藤を詠んだ歌は26首もあり、花が大きな房となって密集することから、「藤波」と表現したものが多いのが特徴です。
平安時代に栄華をきわめた藤原家は、その家紋の多くを下がり藤としています。
藤原家によって開かれた平等院には現在でも藤の花が多く、見頃である四月下旬から五月上旬には多くの人々が訪れます。