KOCHO 胡蝶の間
この部屋の床の間の壁紙は、幻想的な夢の世界をイメージした色合いと風合いのものを選んでいます。
どこからともなく顕われる蝶の存在は東西を問わず、古くから霊魂の化身、再生の象徴とみなされていたようです。万葉集に蝶が詠まれなかったのは、蝶は死者の化身であり、この世のものではないものとして恐れられていたからだと考えられています。
蝶は別名「夢虫」や「夢見鳥」とも呼ばれます。それは古代中国の思想家「荘子」の説話、「胡蝶の夢」に由来しているそうで、「胡蝶の夢」とは蝶になる夢を見たけれど、実は自分は人間ではなく蝶で、人間になる夢を見ていただけではないかという話です。
夢と現実の区別がはっきりとつかないことのたとえで、そしてそこから転じてこの世の儚さや自分と物との区別がつかない物我一体の境地を表した話とされています。
京都では京都府立植物園で、四季折々多くの蝶を見ることができます。胡蝶の夢に思いを馳せてみられてはいかがでしょうか。