KASUMI 霞の間
この部屋の床の間の壁紙は、春の山あいにたなびく霞をイメージした色合いと風合いのものを選んでいます。
霞(かすみ)は水蒸気をたっぷり含んだ空気で、景色がかすんでみえるという点で、秋の霧(きり)と現象としては同じですが、春限定の表現です。
寒さのゆるみとともに、土や植物の発するどこか甘やかな香りも含んで、ふっと優しい気持ちになるのが春の霞。秋の霧とはやはり趣が違います。山蒸し(やまうむし)は、山間部で春の芽吹きをうながす霧や雨のこと。しっとりとした空気に包まれ、木々が喜んでいる様子が目に浮かびます。
さまざまな木々の芽が萌え出し、山全体がふんわりとみえることから、山は春の女神のまとう衣、そして山にかかる三日月は女神の簪(かんざし)、霞(かすみ)は女神の衣の裾(すそ)にたとえられてきました。そのため「霞の衣」は、季語になっています。
また、京友禅の世界ではたなびく霞をモチーフにした文様である「ヱ霞文(えがすみもん)」というデザインがあります。
京福電鉄嵐山駅において京友禅を使用した装飾「キモノフォレスト」をご覧いただくことができます。「ヱ霞文」を見つけることができるかもしれませんね。