UGUISU 鶯の間
この部屋の床の間の壁紙は、春を告げる鶯の羽の色合いと風合いのものを選んでいます。
立春をすぎたら、待たれるものは鶯(うぐいす)の声。「梅に鶯」は日本の春を象徴するモチーフとして、しばしば歌に詠まれ、絵に描かれてきました。鶯が梅の枝にとまっている光景がよく似合っていることから、美しく調和する二つのもののたとえとされます。とはいえ、実際に梅が枝によく留まるのは花の蜜が大好きなメジロのことが多く、警戒心の強い鶯はなかなか姿をみせてくれませんが、声だけはよく聴こえます。
また、鶯色(うぐいすいろ)とは、鶯の羽のような暗くくすんだ黄緑色のことです。江戸時代からの色名ですが、当時は茶系が流行色であったため、鶯色を茶色がからせた『鶯茶(うぐいすちゃ)』のほうが粋な色として人気があり、当時「ウグイス」といえば『鶯茶』を指していました。鶯色が一般に認められるようになったのは明治後期に流行色となってからです。
ちなみに「うぐいす張りの廊下」と呼ばれる、歩くと鶯の鳴き声のような音がする板敷の廊下がありますが、京都では二条城と知恩院のそれが有名です。